おもちゃ
この話は俺が、というか実家で起きた話。
俺が小3の時に母が病気で亡くなった。 

そして母の葬儀が終わってから1ヶ月後に母の妹(つまり叔母)が息子を連れて家にやってきた。
叔母は母が亡くなる一年ほど前に離婚しており、父も3人の息子を男手ひとつで育てていくことに疲れを感じてたんだとおもう。
お互いに付き合いもあったので助け合うことにしたらしい。
まぁ兄と自分はやっとまともな飯が食えると大喜びだったけどw
ここで話は少し遡るが、叔母が家にくる少し前のこと。その日は土曜日で明日は父も休みということで俺は父と一緒にテレビを見ていた。
もう夜も遅かったので弟と兄は寝てしまい、かく言う俺も父に寄りかかりながらウトウトとしていた、

説明しておくと家は三階建ての一軒家で外にある階段を上った二階に玄関があるという珍しい?作りになっている。
玄関を上がるとすぐ正面に三階へ続く階段。左の部屋にはリビング。右の部屋は台所になっていて、台所の奥には一階に続く階段がある。リビングと台所にドアはなく吹き抜けになっているかんじ。
そんで俺がテレビを見てるのがリビング、兄たちが寝てるのが三階という構図。


本題に戻るが、父がテレビに夢中になっている横で、テレビに飽きてきた俺はなんとなく台所の方に顔を向けた。
電気のついていない台所は薄気味悪くあまり見ていて気持ちのいいものではないし、別段いつもと変わった様子もない。
ずっと見ているのも怖かったので再びテレビに視線を戻そうとしたときだった。
ふと視界に何かが入る。三階に続く階段からなにかがはみ出ているのだ。

よ~く見てみるとどうやらそれは小さな足のようだった。
それは子供の俺の足よりも小さく、素足で何故か青ざめていた。
家には小1の弟より下の子は居ない。
第一、弟は三階で爆睡中のはずだ。

不思議に思い、父に「ねぇ、あれなに?」と指さし尋ねる。
良いところを邪魔されて不機嫌気味の父と再度階段に目を向けるとそこにもう足はなかった。
「本当にあったんだよ」
何度言っても父は信じてくれず、だんだん自分でも寝ぼけてたんかなと思い、結局その日は父と三階に上がって寝た。

翌朝目が覚める。
詳しい時間は覚えてないが自分以外はまだ寝てたので結構早かったと思う。
部屋を出て隣にあるトイレで用を足した後、昨日やりかけてたゲームをやろうと思いリビングに向かう。
テレビの上に置いてあるゲーム機(確かポケモンw)を取り、再び部屋に戻ろうと階段の方に体を向ける。
その瞬間、昨日の足の事が頭を急激によぎった。  

       

変な汗が出て体が動かない。よく金縛りは筋肉が硬直して起きると聞くが、この時のことは今でも鮮明に覚えている。
動かないというより動けないというべきだろうか。
玄関の方から階段に向けて黒い糸みたいなのが出ている。
驚きつつもしばらく凝視しているとそれはどんどん束になっていき、そこでようやく俺もそれが何か分かった。

髪の毛。かなり長い髪の毛だった。  

それが髪の毛と分かった瞬間すーっとそれは姿を見せた。
白い和服姿に長い黒髪、横からなので髪が邪魔で顔は見えなかったがすらっとした女のようだ。
ただ明らかにヤバいと子供ながらに感じた。
びびって声も出ない俺に気づいていないのか一度もこちらを見ずにゆっくりと階段へ進んでいくと、そのまま三階へ消えていった。
女が消えた後もしばらく呆然と立ち尽くしていた俺は、ふと我に変えると怖くなり、階段をダッシュで上るとみんなが寝てる部屋に飛び込む。
今思えばよく女が消えた方に向かったなと
その後のことは昔のことだからよく覚えてないんだけど確かそのまま寝てしまったと思うww

結局信じてもらえないだろうと思いその話は誰にも言わず忘れようと胸にしまうことにしたし、それ以降しばらくは特に変わった出来事は何もなかった。
ここまでだったら「気のせいだろww」とか「ありきたり」だなとか言われて終わりなんだが、この後中1のときに叔母からある話を聞いて、当の本人の俺にとっては洒落にならない。

俺が中1になる少し前だったかな。
結局一緒に住んでた叔母と父は結婚した。
まぁそうなると当然のことで、叔母に子供が出来た。
叔母の腹ん中に子供がいる事が分かってから数日経ったある日、俺は変な夢を見た。
俺が学校から帰ってきて三階に上がると左側にある自室に入る。
部屋には誰も居なくて鞄を放り投げる。
そこでなぜか俺は洋服が入ってるクローゼットを開けると中にかかってる服をどんどん外に放り投げてく。
もちろんその時には夢とか現実とか区別つかなかったし、なぜそんなことをやってるのかなんて分かんなかったんだけど、ただひたすらそれを繰り返してた。 

ひと通り服を出し終えた後俺はクローゼットの中に入った。
中は狭くて暗い普通のクローゼットだけどなぜか奥の方に、在るはずのない階段がある。
俺はそのまま階段を上るとドアを一つ見つけ中に入る。
中には子供部屋だろうか、赤ちゃん用のおもちゃがたくさんあって天井にはよく赤ちゃんをあやす奴(名前はわからん)がカラカラと回っていた。

そしてさらに部屋の奥に行くと、カーテンに包まれてる大きいベッドがあった。
俺はそのままベッドに近づくとカーテンを手にどかしベッドをのぞく。
のぞいた瞬間心臓の動悸が激しくなる。
ベッドには生まれたばかりの胎児が血まみれの状態でベッドに横たわっていた。

「うわっ!!」
そこで変な奇声を上げながら汗だくだくで目が覚める。

あまりにリアル過ぎて最初夢って分からなかったが、クローゼットん中かき回して階段が無いのを確認しホッとする。

なんか妙にその夢が生々しかったので、不謹慎だとは思ったがその日の夕方叔母にさりげなく話してみる。

ひと通り話し終えると、叔母は真剣な表情でそれは男の子?女の子?と聞いてきた。
「いやわからん」
やっぱり心配になるよなぁとか思っていたが叔母はどうも別の心配をしているらしい。

「あんたらが怖がると思ったから今まで言わなかったんだけど・・・もしかしたらあんたが見た夢と関係あるかもしれないから話す。ほら、昔飼ってたアンちゃんって犬覚えてる?」

「あ~覚えてるよ」
アンちゃん(仮名)は俺が生まれる前から家にいるトイプードルだ。
母のガンが発覚する少し前に病気で死んでしまったが。
「アンちゃんが病気で死ぬ前にね。姉さん(俺の母)が変な事言ってたのよ。」

「変なこと?」

「うん。なんか夜中になると小さい男の子と女の子が頭の周りを走りまわりながらかごめ歌を歌うらしいのよ。」

「あぁあの、籠のなかの鳥は~ってやつ?」 

「それそれ。それでその時は私も姉さんも特に気にしてなかったんだけどアンちゃんが死んだ後お母さんがガンって発覚したじゃない?」

「それから姉さん狂ったように毎日アタシに夜中電話してきてたのよね。また歌ってる、アタシを連れていこうとしてるんだ、アンちゃんはアタシの代わりに連れて行かれたんだ。って」、
「もう長くないってお医者さんも言ってたから錯乱してたんだと思ってたんだけど・・・実はアタシも姉さんが亡くなった後、ここにきてから変なことがあったの。」 


ここから叔母に聞いた話。

叔母が一階の寝室で寝ていると、上の階から走り回る音が聞こえたらしい。
もう夜中の3時だというのに子供たちがふざけてるなと思って上へいったらしい。
二階に叔母が行くと足音は三階へと逃げていく。
これは間違いなく子供らだなと思った叔母はそのまま三階へ上がったが、そこで違和感を感じたらしい。

家は結構古いのでドアが開閉する音は割とでかい。
開けたり閉めたりすれば必ず分かる。にも関わらずトイレ、和室、洋室とも完全にドアは閉まっている。
不思議に思いながらも叔母は全ての部屋を開け、子供らが寝ているか確認したそうだが全員爆睡だったらしい。
気のせいかと思い、叔母はそのまま台所で水を飲んだ後一階に降りようとしたらしい。

その時叔母はふと後ろが気になり玄関の方を振り向いた。
そこには一瞬、幼稚園児ぐらいの背丈、赤と青の着物をきた男の子と女の子が壁の中に消えていく姿がはっきりと見えたらしい。
その時に子供の笑い声が微かに聞こえたそうだ。

この話を聞いて俺も叔母に昔見た足と、女の事を話すと叔母はその女の方も見た事があるらしい。
ただ俺がその時冗談混じりで「その女の霊は母さんだったんじゃね?」と言った時に「あれは姉さんじゃない」と真顔で返された時は怖かった。(姉さんじゃないという理由は何故か教えてくれなかった) 

叔母は霊感があるらしく若い頃に体験した怖い話をたくさん聞かされてきたので、その叔母と母が見たならやはりこの家はなにかいるのかもしれない。

結局俺の夢はただの夢だったのか、無事元気な男の子が生まれたのだが、ここでまた不思議な出来事があった。

弟が4歳になり俺が高2になった春。
叔母がガンになった。
正確には転移したとかいってたかな。
早期発見のおかげで手術は成功したのだがこれから話すのは入院中叔母に聞いた話。

弟が生まれる前、つまり叔母のお腹の中の子がだいぶ大きくなったころ叔母は医者からお腹の子が双子だということを聞かされた。
だが数ヶ月経つと双子はくっついて一児になっていたらしい。
医者から聞いた話だと片方が小さいと片方が片方を吸収してくっつくことがあるらしい。
まぁ無事にその子は生まれたから叔母は何とも思わなかったらしいがその弟が3歳ぐらいの時のことだった。

3歳とはいえ、弟も拙いが大分しゃべれるようになってきた。
だがそんな時期に弟がやたら誰もいない空間に向かって笑っているらしい。
笑ってるだけならまだしもどうやら何かしゃべっているそうなのだ。
気になった叔母が弟に尋ねたらしい、誰としゃべっているの?と。
そしたら弟は「みねちゃん」と答えたそうだ

ますます気になった叔母は「みねちゃんって誰?」と尋ねる。
「みねちゃんはゆーくん(弟)のおねーちゃんだよ。ママのおなかのおいけでいっしょにおよいだんだよ」とさらっと言ったらしい。
そこで叔母は思い出したそうだ。この子はもともと双子だったという。


3歳の子がこんな嘘をつけるはずはないし、双子だということは父以外に話していなかった(俺もこのとき初めて知った)し、父も誰にも話してないというから弟が知るはずもない。

それから何日か経つと弟は不可解な事をやめたらしい。
叔母が聞くと、「みねちゃんはゆーくん(弟)のお腹の中に入ったんだよ」と言っていたそうだ。

後で調べたんだが赤ちゃんは母体の中で羊水という水に常に浸かっているらしい。
だからお池って羊水のことなんじゃないかと思う。
それに俺が見たあの夢がもし双子の片割れを意味していたとしたらゾッとする。
だが俺が一番気になってるのはあの女と子供の霊は何だったのかということだ。
あの子供が出るたびに犬が死んだり、母が他界。叔母にもガンが見つかるなどろくな事がない。
偶然なのだろうが今でも実家に帰るたびにそのことを思い出す。


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