心霊(家)
心霊スポット巡りした帰りに実際に体験した話。
友人と、車で山梨県の心霊スポット巡りをした帰り、夜も遅くなったので、少し食事をして帰ろう、ということになった。
しかし丁度良い店が見付からない。
仕方ないので、近くにあったカラオケボックスに入って食事を取ることにした。
カラオケボックスというのは、案外、食事のメニューが充実している。
歌いながら酒も頼み、食事を取るとすぐに体が温まる。

途中で友人は、トイレに行くと言って席を外した。
その間自分は、一人で歌うのもなんだし、体が温まって開放感もあったために、ポラロイドカメラで撮影した写真を、 1枚1枚、何かそれらしきモノは写ってないか調べてみることにした。

しばらくすると、友人もトイレから戻って来たようだったので、写真を凝視しながら「どう?何か写ってる?」と見せると、「んー」と首を捻りながら、覗き込んで来た。
「やっぱり霊なんてモノはいねぇか…」「なんか写ってたり怖い体験を出来たら、面白かったのになあ…」と呟くと、いきなり「バタン!」 と、怒ってカラオケボックスの部屋の扉を閉める音。自分は友人に何か気に障る
ことでもしちゃったのかな?と不安に思いながらも、「ガラスが割れるだろ! もっと静かに閉めろ!」と注意すると、…そこに友人の姿はない。
TVモニター から、新曲のCMやらPRやらだけが聞こえる部屋の中、自分ひとりだけである。

「あ…あれ?」その時は、怖いというより呆気にとられた感じがした。…まあ酒も入っていることだし、少し疲れてるんだろ…、と気に留めず、何か歌って気を紛らわすか…と、カラオケのリモコンを操作しようとすると、
「今探してる からちょっと待ってよ」と、友人の声。

驚いて振り向くと、きょとんとした顔で曲録をめくりながら、既にトイレから戻り、椅子に腰掛けている友人の姿が…。
「!」まさに顔面蒼白となりながら、酔いもすっかり醒めて凍りついたように
見つめたので、友人もただならぬ状況を察したのか、シーンとなってしまった。

「おいおい、こんな所で驚かすのはやめろよー」
「いやいや、マジ!マジで、 本当にお前が戻って来て、一緒に写真を見たんだって!」
「写真なんてまだ見てないぞーちょっと見せろよ」
友人が、場を持ち直すように明るく振舞い始めたので、自分も怖いの半分、しかし「本当に疲れてしまったんだろうな」という気持ちも半分で、少し緊張も解れた感じで写真を見せると、
「んー…何も写って ないな、本当に」「モヤとかオーブとかぐらい写ってないかなあ」
と友人は、1枚1枚めくりながらブツブツ言った。

「あなたが望むものは、何ですか?」
ふと、TVモニターの、新曲のPRやらCMやらを紹介する番組の、司会者みたいな人が番組の流れでそう言ったかと思うと、モニターから何も聞こえ なくなってしまったので、自分と友人は、無意識なうちに二人一斉に画面を
見たら…そこには真っ暗な画面から、こちら側に長い髪の毛を垂らす、リングの貞子のようなモノが たら~ん…たまらなくなって、店の外まで逃げてしまいますた。

まあ、すぐに気を取り直して店に戻って、部屋から荷物を持って、会計を済ませて
店を出ましたがね。
 

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